一般的に型から入る教育というのは悪いとされる。
ちゃんと意味を理解させてから実行させるのがよいと。
だけど子どもには理解できないこともある。
剣道では多くの決め事がある。
立つときは右足から座るときは左足から。
刀を左に差しているので抜きやすいように。
一本とってガッツポーズしたら取り消し。
昔の試合は真剣勝負。勝ちは生で負けは死。
ていねいに弔うのが敗者の尊厳への姿勢。
礼儀作法の決め事もそう。
お互いの行動を決めて二人が同じようにふるまわないと
いつ相手が切りかかってくるかわからないからだ。
「竹刀を跨いではいけない」
これはどこの道場も厳しく言う。
ワクは大人になり刀で稽古してはじめてその意味がわかった。
自分を守り相手と戦う刀を跨ぐなんてとうていできない。
あの刀をもった時の緊張感はもってみないと理解できない。
「理解できないと実行しない」という原則は必ずしも正解ではないと思う。
「理解できていた」と思っていたのが独りよがりの思い違いということもある。
「型」には受け継がれた伝統の身体文化がある。
そこには意味がある。そして後からわかることが多い。
「まなぶ」は「まねぶ」(まねる)からきている。
学ぶときにはある種の「素直さ」も必要である。