はるか遠い大西洋や地中海から獲ってきたマグロやサーモン。
機械が形を整えたすし飯にそれを乗せてくるくると回して食べる。
九州から東京宛てに出した宅配便が翌日の指定時間に届く。
真夜中に冷凍食材をチンしてテーブルに置くファミリーレストラン。
わずか3週間足らずの祭りのために莫大な費用をかけるイベント。
そのエネルギーの源として原発を再開しようという奴らさえいる。
近海の魚を食べればいいではないか。
荷物が少しくらい遅くてもいいではないか。
夜中に外食しなくてもいいではないか。
質素なオリンピックのどこが悪い。
ワクが言いたいのはこういうことだ。つまり
「われわれはかなり不自然な生活をしているのではないか?」
ということだ。あたかも美食を楽しむために
嘔吐しながら宴会を続けるローマ貴族のように。
便利さや娯楽や快適さ。それ自体は悪くない。
しかしそれらは「退廃」を呼ぶきっかけともなる。
ではその境界はどこにあるか。
ワクは「自然」か「不自然」かで見分けるべきだと思う。
ほんらいの自然なもともとのあたりまえの世界かどうか。
そしてわれわれは不自然な領域に
すでに足を踏み入れていたのではないか。
地震と津波がそれをわれわれに教えてくれた。
原発を指差して「これは不自然なものですよ」と。
われわれは生き方を方向転換する必要がある。
新しい生活を考えよう。新しい時代と世界を創ろう。
そのためにみんなで一生懸命に知恵を絞ろうではないか。
3月11日をわれわれが生まれ変わるその日にするのだ。
数多くの犠牲者に報いるのはその道しかない。