<縁>というか<めぐり合わせ>というか。
中村俊輔とワールドカップはめぐりあわせが悪い。
2002年の日韓ワールドカップの時には
若手エースにもかかわらず選ばれず。
後にトルシエ監督はその理由をこう語った。
負けている試合で誰を出そうかとベンチを見たら
中村は試合を見ないで髪の毛をいじっていた…と。
2006年のドイツ大会はもっとも脂の乗り切った時期だ。
ヨーロッパで活躍し押しも押されぬ日本の中心選手である。
ところが体調不良で大ブレーキ。最悪の大会の最大の責任者となった。
そして2010年の南アフリカ大会。俊輔は大会中に32歳になる。
最盛期は過ぎたがそれでも岡田監督は俊輔を中心にチームを作った。
ところがまたしても俊輔は大会が近づくにつれ輝きを失い
大会直前に岡田監督は戦略を大転換し俊輔を外す。
結果的にそれが功を奏しすばらしい試合で予選リーグ突破。
本田という若いエースも登場し次はパラグアイ戦である。
そして俊輔の居場所はまたしても無くなった。
フィールドを駆けるファンタジスタの姿は消えた。
もし決勝トーナメントの一瞬に俊輔がピッチに立ち彼の左足から
回転のかかったボールが弧を描いてゴールに飛び込んだら。
その時には日本中のサッカーファンが涙を流すだろう。
いや。たとえ俊輔が最後までベンチにいたとしても。